核兵器禁止条約、批准国で順次発効 締約国会議はオーストリア開催へ 日本参加は?
史上初めて核兵器の開発や保有、使用などを全面的に禁じる核兵器禁止条約が22日、南太平洋のサモアから順次発効した。世界の核軍縮は核拡散防止条約(NPT)を柱にしているが、その動きは停滞してきた。核禁条約の推進国や非政府組織(NGO)は、核兵器を非人道兵器とする国際的な規範意識が高まり、核保有国への圧力になると期待しており、核軍縮の前進につながるか注目される。
条約は、昨年10月時点の批准50カ国・地域で、現地時間の22日午前0時にそれぞれ発効。昨年12月に新たに批准した西アフリカのベナンでの発効は、批准から90日後の3月11日になる。批准は、中南米やオセアニアなどの小さな国が多い。国連のグテレス事務総長は「核兵器使用による壊滅的な人道上の結末に関心を集める世界的な運動の成果だ」と評価している。
核兵器の廃棄や検証方法など核兵器を具体的にどう禁止していくのかは、2年に1度の締約国会議で話し合う。第1回締約国会議は、今年12月か来年1月にオーストリアで開催する方向で検討が進んでいる。締約国会議には条約に加盟していない国もオブザーバー参加できる。スウェーデンなどが参加の意向を示しており、日本でも参加を求める意見が出ている。
核禁条約は2017年7月に122カ国・地域の賛成で採択された。昨年10月24日、批准した国・地域が50に達し、発効が決まった。米露英仏中などの核保有国や「核の傘」の下にある日本などは参加しておらず、締約国でなければ条約の法的義務に従う必要はない。だが、核禁条約ができた背景には核軍縮が停滞し続けていることへの不満の高まりがある。今後、NPT再検討会議などの場で核保有国が核軍縮に向けた姿勢をどこまで打ち出すのか問われそうだ。【ニューヨーク隅俊之】