雄星の出現で“野球弱小県”が激変! 怪物の名産地・岩手の謎


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雄星の出現で“野球弱小県”が激変! 怪物の名産地・岩手の謎

6/10(月) 16:56配信

夕刊フジ

 【怪物の名産地 岩手の謎】

 「菊池雄星君が花巻東高のエースとして甲子園で活躍したときから、岩手の野球は間違いなく変わったんです」

 岩手県高野連の前理事長で現・水沢高野球部監督の佐々木明志氏(55)はそう断言する。

 2009年。菊池雄星投手(27)擁する花巻東は春のセンバツで、岩手県勢として春夏を通じて初めて決勝に駒を進め、夏にもベスト4進出を果たした。その影響はとてつもなく大きかったという。

 その前年までの10年間で、岩手代表校が春夏の甲子園で挙げた白星は2002年夏の1つだけだった。「はっきり言って、岩手は高校野球の後進県でした。雄星君の出現はその状況を一変させました」

 1年生のときから花巻東のエースとして他校の前に立ちはだかった菊池の存在は、岩手の高校野球のレベルを伸ばすことに貢献した。

 「大谷君のときもそうですが、全国区の投手が出てきたとき、県のレベルは大きく引き上げられます。彼のような好投手を打つためにどうするか、彼らのような投手になるにはどんなトレーニングをすればいいのかに知恵を絞り、それが他の高校にだんだんと広がっていくんですね」

 剛腕を擁する花巻東を打ち崩すため、好敵手の盛岡大付高は打力の向上に練習の大半を費やし、他校はこの圧倒的な打力を抑えるための工夫を重ねた。このしのぎ合いが県のレベルを押し上げたとみる。

 中学3年時に軟式球で147キロをマークし“スーパー中学生”と騒がれた現・仙台育英(宮城)の左腕、笹倉世凪投手(1年)も岩手県(花泉町)出身。「小さい頃に見た雄星さんの姿は本当に衝撃的でした。岩手出身でも甲子園で勝てるんだという気持ちにさせてもらえた」と目を輝かせる。岩手の野球少年に与えた影響は絶大だった。

 さらに、当時中学3年だった大谷が菊池に憧れて花巻東への進学を決めたように「県内の逸材が他県の強豪ではなく、県内で進学を考えるようになったことも大きい」と佐々木明志氏。1人の怪物の存在は後に続く怪物の出現に貢献している。

 新進の指導者を育てる気風も、好素材を成長させる上で大きな要因だ。菊池と大谷を指導した花巻東の佐々木洋監督(43)も、佐々木朗希を預かる大船渡の国保陽平監督(32)も、地元岩手出身。

 岩手は伝統的に、ライバル校同士であっても交流が密だ。佐々木明志氏は「他県ではOBですら口も聞かないという関係性もあるようですが、岩手ではそういうことはない。シーズンオフに年に1回のペースで1泊2日だけですが、県内の指導者交流会を持っています。他にも監督同士の交流は盛んに行われていますし、最近は主力チームだけではなく、2軍レベルのBチームによるリーグ戦も盛んです」

 県内出身の逸材を県全体で育てようという風潮が強いという。

 そして、岩手の野球を語る上で11年に起きた未曾有の大災害の影響は避けて通れない。(片岡将)

引用:雄星の出現で“野球弱小県”が激変! 怪物の名産地・岩手の謎

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