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高性能ハイパワーになった現代のバイクを、違反せず安全に走らせようと思えばサーキットへ行くのがいちばん。かつては“サーキット=レース”というイメージで、上級者だけの限られたスペースであったが、今は少し違う。
全国のサーキットで「体験試乗会」なるものが定期的に開催され、ビギナーやリターンライダー、老若男女を問わずテクニックを磨く絶好の機会となってスポーツライディングを満喫している。目的はレースではなく、走りを楽しむことや腕を磨いて安全運転に役立てようというものなのだ。
◆雨にもかかわらず、サーキットは大盛況!!
首都圏から程近い袖ヶ浦フォレストレースウェイ(千葉県袖ケ浦市)には4月27日、200台に迫るバイクが集まった。全国のMFJ公認サーキットにて行われている走行会『Pirelli Metzeler FUN TRACK DAY(ピレリ・メッツラー ファン トラック デイ)』だ。
天気はあいにくの雨で、しかも4月下旬とは思えぬ極寒。バイクに乗ったことがある人でも想像に容易いと思うが、雨が降ると屋根のないバイクはとてもツライ…。
とはいうものの、筆者も都内の自宅からKTM『1290スーパーデューク GT』で、レーシングスーツを着込んだ上にカッパを上下着用し、走ってきた。バンやトラックにバイクを積んでいく方法もあるが、筆者のように“自走”する参加者も珍しくない。
当然ながら、バイクだから大きな荷物は載せられない。サーキットを走るためのレーシングスーツもこの際、着ていくしかないのである。バイクブームだった80年代の頃は、“ツナギ”姿の若者を街でもよく見かけた。喫茶店でインベーダーゲームをして、峠へ走りに行くというのがお決まりのパターンと当時のライダーに聞いたことがある。
いま、サーキット走行会に参加するライダーたちのなかには、かつて峠にバイク乗りたちが集まって社会問題になったことをよく知っているお父さん世代も少なくない。もはや大人になったライダーたちは、そんな過ちは繰り返さない。大排気量になって、性能もケタ違いに上がった愛車を、こうした「サーキット試乗会」で安全に走らせるのだ。
◆サーキットに親しんでもらうのが一番の目的
主催するのは、ピレリジャパン。広報担当の河村拓男さんは「サーキットの敷居を下げて、多くの人にスポーツライディングの楽しさを提供したい」という。サーキット走行の経験がない人も気軽に参加できるようレーシングスーツの無料貸し出しやライディングレッスンもおこなっている。
また、筆者のように一人で参加するライダーは、荷物を下ろして待機するピットが主催者のテントのすぐ近くにあり、困ったことなどがあれば、すぐ声がかけられるよう配慮してあり嬉しいかぎり。おかげで同じような“お一人様”を見つけて、会話もできた。
そして、サーキット走行会の朝は早いが、受付10時50分とゆっくりな「スポーツツーリングクラス」も設け、フルフェイス、長袖・長ズボンなど安全な格好であれば走行できるようにした。運営管理してきた有限会社ディメンションデザインの川野泰裕さんも「マナーがいい人ばかりで、安全に楽しくサーキット走行が楽しめます」と、胸を張る。
走行前のブリーフィングでは、危険行為がないようルールを徹底厳守するよう周知することを忘れない。サーキットの敷居を下げつつも、安全面には細心の注意を払って運営がおこなわれている。
◆電子制御とピレリ最新スポーツタイヤで雨も不安なし!
さぁ、いよいよ自分の走行枠だ。最高出力173PSの『1290スーパーデューク GT』は水を得た魚のように走り、公道では決して味わうことのできないハイスピード、高性能が堪能できる。ウェット路面ながら安心して走れるのは、万一スリップしてもグリップを取り戻すトラクションコントロールやABSブレーキといった最新の電子制御のバックアップがあるから。
そして、ピレリの最新スポーツタイヤ『DIABLOTM SUPERCORA SP V3』のおかげもある。公道走行可能としつつも、サーキットでの最上のパフォーマンスを持ったスポーツタイヤで、リアはグリップと安定性、寿命も高次元で両立したダブルコンパウンドを採用している。
「もう少しいける」という感覚が前後輪からしっかり伝わってきて、ウェットにも関わらずどんどん攻めていけた。サーキット向けのスポーツタイヤはグリップ重視で、雨が降ったらこわくて仕方ないというのが定石だが、レインもしっかり考えられている。サーキットの行き帰りも、このウェット性能の高さがありがたい。
走行枠は15分×3本で、最後の回は雨が酷くなってトホホな気分だったが、走っているうちに「雨の日の練習にうってつけではないか」ということに気がついた。なるほど、常連組はこれをよく知っているから、こんな雨でも多くのライダーが集まってくるのだ。天候に関わらず、サーキット走行会はためになる。今回得た収穫である。
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。最新バイク情報をビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説し、休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持されている。現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。
《レスポンス 青木タカオ》
引用:現代の高性能バイクはサーキットで堪能すべき! ピレリが走行会を開催する理由
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