【健康経営 がんと向き合う】もう治療方法がないと言われたら





【健康経営 がんと向き合う】もう治療方法がないと言われたら

6/2(日) 7:15配信

SankeiBiz

 弊社にがん相談に来る人の2~3割くらいは、主治医にもう治療方法がないと言われた患者だ。そう聞くと、もう寝たきりで動けなくなっている状態をイメージするかもしれないが、実際は全くそんなことはない。がんは、その大きさによらず転移があるとステージ4と診断される。ステージ4では抗がん剤治療が中心となる。がんによっては抗がん剤が2種類ぐらいしかない場合もある。そうなると半年から1年で治療方法がなくなる。ステージ4といえば末期のイメージもあるが、元気で自覚症状がないような場合も多い。(GMS・竹内規夫社長)

 その状態で治療方法がないと言われても諦めきれるものではない。これだけ医療は進んでおり、何か治療法があるだろうと考えるのが普通の感覚だ。そういった場合、がん診療連携拠点病院と呼ばれる比較的大きな病院にセカンドオピニオンに行くのですが、基本的には保険診療である限りは治療方法はない。同じがん診療ガイドラインというマニュアルを使っているので、病院によって抗がん剤治療の差が出ることはほとんどないのだ。

 ただ、本当に治療法が全くないのかというとそんなことはない。保険外であれば、まだまだいくつもある。治験であったり民間の先端治療と呼ばれるものがそれにあたる。

 治験はがん診療拠点病院のような比較的大きな病院で行っていることが多く、弊社でもいくつか案内できる態勢が整いつつある。

 先端治療はクリニックレベルで行われていることが多い。大きな病院でセカンドオピニオンを受けている限りたどり着くことは困難だ。これを受けたいとなると、自分で探し求めて自分で話を聞きに行くしかない。

 治験とは厚生労働省から薬として承認を受けるための臨床試験のこと。試験なので患者の金銭的な負担はない。第1相試験、第2相試験、第3相試験に分けられ、それぞれに役割がある。第1相試験では薬の安全性を確かめたり、第2相試験は安全性に加え効果などを調べ、第3相くらいになると実際の治療に近い形となる。このため、第1相試験などは少しリスクが高いということになる。

 一方、先端治療と呼ばれる治療は基本的には医師の裁量によって行われるので、比較的安全なものが多い。しかし、保険外なので、高額な治療となり、効果の面でも不安が多い。保険で治療方法がないと言われたら、治療を諦めるか、治験を受けるか、先端治療などを受けるか-の三択になる。十分な家族での話し合いの下で決めるべきだろう。

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【プロフィル】竹内規夫

 たけうち・のりお 1978年、和歌山県生まれ。がん治療コンサルタント。2008年ごろから、がん患者をサポートする活動を開始。16年、がん治療専門のコンサルタントが、患者をサポートするGMSを設立し、社長に就任。

引用:【健康経営 がんと向き合う】もう治療方法がないと言われたら