著者
マダム・ホー
作家、ポートフォリオワーカー。大阪市出身の日本人。
リハビリという日本語がなかった時代にアメリカで先端医療を学ぶために高校から単身留学。アメリカの名門校UCLAとUSCの両大学院修了後、順風満帆の人生を歩み始めたかに見えたが、25歳の時、突然実家の父が急病で倒れたのがきっかけで、アメリカのキャリアエリートから介護貧乏に転落。
その後、夫婦で合計6つの仕事をかけもちし、5年未満で最初の1億円資産を作った元祖ポートフォリオワーカー。次世代の育成のために2013年には母校・南カリフォルニア大学で奨学金制度を設立。お金という切り口で、愛情と健康とお金のバランスがとれた幸せな人生100年時代を提唱中。『世界一愚かなお金持ち、日本人』などの著書がある。
本書の要点
- 要点1:著者の提唱するポートフォリオワーカーとは、自分らしくやりたい仕事を複数持つ働き方をしている人だ。不労収入を得て、経済的自由と心の自由を手に入れることが、ポートフォリオワーカーの究極の目的だ。
- 要点2:終身雇用幻想が崩れ、人生100年時代といわれる現代では、未来を見すえて自分の生き方・働き方を考えることが今まで以上に重要となる。
- 要点3:ポートフォリオワーカーという働き方を実現するためのカギは「心」「知識」「行動」の3つである。
本書の要約
ポートフォリオワーカーとは何か
時代に求められるポートフォリオワーカーという生き方
「日本の20年先をいく」といわれているアメリカでは、1990年頃から二極化が進んでいる。
「富む者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」という傾向が強まっているのだ。
2000年あたりからは、定年退職後も現役と同じ生活レベルを維持できる高齢者は、子どもや親戚兄弟の世話になっても2割程度でしかないといわれている。
「人生100年時代」の後半でも高い生産性を保ったまま、生活レベルを落とすことなく豊かに生きることができる人と、そうでない人との差は何なのか。
著者はその答えを、リンダ・グラットンの著書『ライフ・シフト』に出てきた「ポートフォリオワーカー」という言葉に見出した。
金融の文脈での「金融資産の分散投資」を指す「ポートフォリオ」から派生して、「複数の仕事を同時にかけもつ人」のことをポートフォリオワーカーと呼ぶ。
これまで日本では、多くの企業が副業を禁止していた。
だが、働き方改革の影響もあり、ようやく副業の可否が議論されるようになった。
終身雇用の幻想が崩れた今、未来を見据えて「生き方」「働き方」について考え、ビジョンを持つ必要がある。
さらに付け加えるならば、「生活のためにやらなければならないこと」をするのではなく、「自分らしく、やりたいことを複数持つ働き方をしている人」となる。
究極の目的は「不労収入による経済的自由と心の自由」を手に入れることである。
複数の収入がもたらす心の平穏
著者がポートフォリオワーカーになったきっかけは、介護貧乏を経験したことだ。
アメリカで名門校を卒業した著者の将来は約束されているかのように思われた。
だが、実家の父の介護をするために離職すると、あっけなく介護貧乏になってしまう。
そこで考え始めたのが、「お金持ちはなぜお金持ちなのか」という問いだ。
それが「不労収入」の差だと気づいた25歳から、著者ら夫婦は不労収入の確保を決意した。
複数の収入を持つことがどれだけ精神衛生に良いかを、収入を「タイヤ」にたとえて考えてみよう。
夫が働き、妻が専業主婦というパターンは、夫の収入に関係なく「一輪車」状態だ。
無我夢中で頑張れる若いうちは良くても、中年以降では8割の人が「ミッドライフ・クライシス」に陥ってしまう。
ある日突然「自分の人生はこれで良いのか」と悩みや焦りが生じるのだ。
そんなとき、自分が一家を支える「一輪車」だと、「ちょっと休みたい」という希望は叶えられない。
また、夫婦共働きでも一人1つの仕事では、2人乗りの自転車を2人でこいでいるような状態であり、一輪車とそう変わらない。
定収入でも、「働けなくなったら収入がゼロ」という不安定性の課題が残る。
では、夫婦共働きで、さらにもう1つ収入がある状態ならどうか。3つのタイヤがあると、「一緒に、一息つける」のが大きなメリットといえる。
著者のおすすめは4つ以上の収入源を確保することだ。
4つのタイヤのうち1つがパンクしてもなんとか走り続けることはできる。
この安心感が「心の自由」につながるのだ。
「心」「知識」「行動」でポートフォリオワーカーを実現する
適切なリスクをとる「マインドセット」
幸せなポートフォリオワーカーを実現できる人とそうでない人の違いは、「心」「知識」「行動」の3つである。
まず重要となるのは心だ。
自分が幸せなポートフォリオワーカーになれると信じ、適切なリスクをとれるようになるには、そのための「マインドセット」すなわち「心」が必要なのだ。
著者の場合は、成功と失敗について、人生は「あきらめるか、続けるか」で決まるというマインドセットを持っている。
そこでカギとなるのが「1・3・5・7の法則」である。
本の要約サイトフライヤーから引用
https://www.flierinc.com/