著者

 

岩田健太郎(いわた けんたろう)

1971年島根県生まれ。島根医科大学(現・島根大学)卒業。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より神戸大学。

 

神戸大学都市安全研究センター医療リスクマネジメント分野および医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授。神戸大学病院感染症内科診療科長。

 

著書に『予防接種は「効く」のか?』『1秒もムダに生きない』『99・9%が誤用の抗生物質』(以上、光文社新書)、『感染症外来の事件簿』(医学書院)、『主体性は教えられるか』『医療につける薬』(以上、筑摩選書)、『「患者様」が医療を壊す』(新潮選書)、『「リスク」の食べ方』(ちくま新書)など多数。

 

 

本書の要点

 

  • 要点1:リスク・コミュニケーションはコミュニケーションの1つである。一方的な情報発信ではなく、双方向性の対話でなければならない。聞き手のことを考えて行なう必要がある。
  • 要点2:リスク・コミュニケーションでは状況を正確に把握し、伝えることが重要となる。そのために使用する数字にも主観が入っていることを忘れてはならない。
  • 要点3:リスク・コミュニケーションは「やった」ことだけでは意味がない。リスクを回避あるいは軽減したという「結果」が大事なのである。目的と手段を混同してはならない。

 

本書の要約

 

リスク・コミュニケーションとは何か? なぜ必要なのか?

 

リスクと対峙するとき、リスクそのものだけを扱うのでは不十分だ。

 

リスクにはコミュニケーションが大きな影響を与えているからだ。

 

効果的なコミュニケーションはリスクそのものを減らすことができる。

 

一方で稚拙なコミュニケーションは、リスク回避失敗に直結し、パニックをもたらす。

 

感染症リスクにおいてもそれは同じだ。

 

感染症の原因はほとんど目に見えず、短期的に集団に広がるなど、他の病気にはない特徴がある。

 

だからこそ、独特の恐怖感を惹起する。

 

それが、効果的なリスク・コミュニケーションが感染症にとって重要となるゆえんである。

 

リスク・コミュニケーションとは、健康、事故防止、環境問題といった様々なリスクを伴う場合のコミュニケーションだ。

 

これはいろいろな目的にあわせて利用できる。

 

災害などの緊急時には、人々を適切な行動へと促すために「説得」という形をとる。

 

テレビの地震・津波速報で「高台に逃げてください」などと放送されることも、リスク・コミュニケーションの1つだ。

 

こうしたコミュニケーションは、相手の存在が前提となる。

 

したがって、一方的な情報伝達ではなく、双方向の「対話」とならなければならない。

 

相手の主張を無視して一方的に「正しい」情報発信をしても、目的は達成できないのだ。

 

日本の場合、目的はそっちのけで「ちゃんとやった」という事実だけにこだわる場合が多い。

 

コミュニケーションをとることはあくまで手段であり目的ではない。

 

 

 

本の要約サイトフライヤーから引用