著者
山口謠司(やまぐち ようじ)
大東文化大学文学部教授。1963年長崎県佐世保市生まれ。博士。
大東文化大学大学院、フランス国立社会科学高等研究院大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員を経て現職。専門は、書誌学、音韻学、文献学。
シリーズ21万部『おとなのための1分音読』(自由国民社)、シリーズ17万部『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)、ベストセラー『日本語の奇跡』『ん』(ともに新潮社)、和辻哲郎文化賞を受賞した『日本語を作った男』(集英社インターナショナル)など著書多数。
広い視点から、わかりやすく日本語について解説するスタイルで、テレビやラジオの出演も多く、NHK文化センター、朝日カルチャーセンター、中日文化センターなどでも定期的に講演や講座を開いている。
1989年よりイギリス、ケンブリッジ大学東洋学部を本部に置いて行なった『欧州所在日本古典籍総目録』編纂の調査のために渡英。以後、10年に及んで、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ベルギー、イタリア、フランスの各国図書館に所蔵される日本の古典籍の調査を行なう。またその間、フランス国立社会科学高等研究院大学院博士課程に在学し、中国唐代漢字音韻の研究を行ない、敦煌出土の文献をパリ国立国会図書館で調査する。
文部科学省科学研究費助成を受け、第一次世界大戦後に行なわれた昭和天皇(当時は皇太子)によるベルギー王国、ルヴァン大学に寄贈された日本古典籍についての研究なども行なっている。
本書の要点
- 要点1:読みやすい文章は、要点のみを押さえたシンプルで短いものである。だらだらと長い文章を書いてしまう人は、不要な情報や言葉を適切に削ったムダのない文章を書けるようになろう。
- 要点2:シンプルな文章を書くためには、まず自分の頭の中で書きたいことを整理する必要がある。文章が上手く書けない原因のひとつは、「書くことが明確になっていない」ことである
- 要点3: 文章に触れる習慣をつくり、テクニックを身につけていけば、書くこと自体が楽しくなっていくだろう。
本書の要約
「何を書くか」決まらない
伝えたいことをまず明確に
文章を書くためにはまずその内容が必要となる。
これは当たり前のことのように思えるだろう。
実は、多くの人は書くべきことを明確にできていないために、文章作成に苦労しているのだ。
文章の質を上げるための第一条件は、思考が明確になっていることである。
「伝えるべきこと」「伝えたいこと」が自分の中ではっきりと整理できている人は、思考を上手く文章化することができるだろう。
「何となくこういうことを伝えたい」という漠然とした考えで文章を書き始めてしまうと、何を言っているのかよくわからない内容になってしまう。
わかりやすく納得できる文章には、短くシンプルな文が集まっている。
一方で、整理されていない人の文章はだらだらと冗長になりがちだ。
文章を書く前に、漠然とした思考をしないようにする。
これを怠ってしまうと、「自分はこれが言いたい」と思うことを的確に言語化することができない。
2つの軸を使う
思考を整理するために最適な方法は、2つの軸を立てて考えを明確にすることだ。
軸の内容は人それぞれ異なっているが、その2つの軸が交差するところに、「あなたが伝えたいこと」がある。
たとえば、あなたが「新しい洋服を買いたい」と思ったとき、「シャツ」の軸と「好きなブランド」の軸の2つを設定すれば、欲しい商品を明確にすることができる。
それと同様に、自分が書くべき文章の要素を2つ軸に当てはめるとよい。
商品開発の企画書であれば、「自分が興味関心を寄せている商品」と「お客様のメリット」の2つを交差させる。
そこで浮かび上がった商品をプレゼン資料の文章に落とし込む。
こうした2軸の考え方を日ごろから行なうようにしたい。
これだけでは具体性がないため文章化がしづらいという人は、2つの軸を設定した上で「それを形にするための情報を集める」作業をしよう。
営業職の人であれば、他社の商品のアフターケアの内容など、何でもよいので間口を広くして情報を集める。
キーワードを設定して具体化することも効果的だ。
そうして伝えたいことについて詳しくなるにつれて、あなたの思考はより明確なものとなるだろう。
本の要約サイトフライヤーから引用