著者
小林義崇(こばやし よしたか)
元国税専門官、フリーランスライター、Y-MARK合同会社代表。
1981年、福岡県出身。
西南学院大学商学部卒業後、2004年に東京国税局の国税専門官として採用され、以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。
2017年7月、東京国税局を辞職し、フリーライターに転身。マネージャンルを中心とする書籍や雑誌、ウェブメディアの執筆活動に加え、税やお金に関するセミナーを行っている
本書の要点
- 要点1:「金利がいい」「金利が悪い」は、立場によってとらえ方が異なる。お金を借りる側にとっては利子があまりつかない「低い金利」がいい金利であり、貸す側にとっては金利が多くつく「高い金利」がいい金利となる。
- 要点2:景気が悪くなると、一般的に金利が下がる。お金を借りやすくなるように、日銀が金利の引き下げを行い、それに連動して銀行から借りるときの金利と預けるときの金利が下がるからだ。
- 要点3:年末調整は、毎月の給与から差し引かれている所得税額と実際の税額とのギャップを再計算し、税額を確定するために行われる。
本書の要約
金利と景気
「いい金利」と「悪い金利」
「金利がいい」「金利が悪い」という言葉をよく聞くが、金利のとらえ方は立場によって異なる。
「金利=利子」と言い換えてみるとわかりやすいだろう。
借金を取り立てる金融系のドラマをイメージしてみよう。
お金を借りる立場であれば、利子があまりつかない「低い金利」がいい金利になる。
一方、貸す立場からすると、金利が多くつくと返してもらえる金額が増えるため、「高い金利」がいい金利だ。このように、金利には二面性がある。
銀行にお金を預けることは、お金を銀行に「貸している」ことと同じだから、預金には金利が上乗せされている。
だから、銀行からお金を借りるときは金利が低いほうがよく、銀行にお金を預けるときは金利が高いほうがいい。
銀行が金利をつけるのは、お客さんに預金してもらうためだ。
銀行は、お客さんから集めたお金を企業に貸して利息をもらったり、株や土地などの売買を行ったりすることで利益を上げている。
お客さんに預金してもらい、軍資金を多く集めれば集めるほど、銀行の利益も上がるというわけだ。
誰が金利を決めるのか
金利は、各金融機関がそれぞれの基準で決めている。
しかし実際は、ほとんど横並びだ。
その理由は、日銀(日本銀行)が「銀行にお金を貸し出す銀行」であり、どこの銀行も日銀からお金を借りて経営をしていることにある。
日銀は、「金融政策決定会合」によって、市場の金利を調節する方針を決定している。
これに基づいて「公開市場操作」することにより、日本の市場全体に出回るお金の量を調整し、世の中の金利をコントロールしている。
市場のお金が増えれば、企業や個人の収入が増えやすくなる。
そうすると、高い金利を払ってローンを組もうとする人が減る。
銀行はローンの借り手を増やすために、金利を下げる方向に動く。逆に市場のお金が減ると、「金利が高くても貸してほしい」という企業や個人が増え、金利は高くなる方向に動く。
金利は景気や物価などが複雑に影響するが、日銀の存在も大きな要素になっている。
景気が悪化すると金利が下がる理由
景気が悪くなると、一般的に金利が下がる。
その理由は、不景気になると、経済を活性化させるために市場のお金を回す必要があるからだ。
このとき、金利が高いと「借りたくても借りられない」ということが起こる。
そこで、お金を借りたい人が借りやすくなるように、日銀が金利を下げようと動く。
それに連動して「銀行から借りるときの金利」も下がり、「預けるときの金利」も下がることになる。
例えば、金利が下がっている状態で、A銀行だけが預金金利を上げたとする。
本の要約サイトフライヤーから引用