著者

 

ドン・リチャード・リソ(Don Richard Riso)

 

スタンフォード大学大学院修士課程修了。エニアグラム研究所共同創設者。

 

著書に『自分を変える本』、共著に『性格のタイプ』(共に春秋社)など。2012年8月逝去。

ラス・ハドソン (Russ Hudson)

コロンビア大学卒業。エニアグラム研究所共同創設者であり、現代表。

 

エニアグラム・パーソナリティ・タイプ社取締役。共著に『性格のタイプ』(春秋社)など。

 

 

本書の要点

 

  • 要点1:エニアグラムは、円、三角形、変六角形を組み合わせた特徴的な幾何学図形をシンボルとして、人を生まれながらの気質によって9つのタイプに分けるタイプ理論である。
  • 要点2:エニアグラムのタイプは、それぞれの基本的特徴を描き、それぞれのタイプには並外れた才能と予測可能な落とし穴がある。
  • 要点3:各タイプにはそれぞれ「成長のレベル」がある。「健全な段階」へ近づくほど、性格構造やそのメカニズムの制約から自由になり、「本質から生きる」ことを実現しやすくなる。

 

 

本書の要約

 

自分をより知るためのツール、エニアグラム

エニアグラムの9つのタイプ分類

PeterHermesFurian/gettyimages

エニアグラムは、人の生まれもった気質を9つのタイプに分類し説明する。

 

それぞれのタイプには並外れた才能とおちいりやすい落とし穴があると考えられている。

 

9つのタイプは、本書の表紙にも掲載されているエニアグラムの特徴的な図形の上に示され、分析にはこの図が利用される。

 

エニアグラムのエクササイズは、自分のタイプを知り、その行動傾向を理解することから始まる。まずは9つのタイプを簡単に説明しよう。

 

タイプ1:改革する人。高潔で理想が高く、規律を重んじ、常に物事を改善しようとする人。

 

タイプ2:助ける人。思いやりがあり、寛容で、人間関係を重視する。

 

タイプ3:達成する人。向上心が強く、適応力がある。自信があり、有能でエネルギッシュ。

 

タイプ4:個性的な人。ロマンチックで、繊細。自分をさらけ出し、感情を正直に表す。

 

タイプ5:調べる人。強烈に思考し、洞察力や好奇心に富み、複雑な考えや技能を発達させることができる。

 

タイプ6:忠実な人。真剣にかかわる、安全志向のタイプ。頼りになり、責任を果たす。

 

タイプ7:熱中する人。多才で、絶えず新しい刺激を求めている。楽観的で元気。

 

タイプ8:挑戦する人。パワフルで強く、自信があり、自己主張する。決断力がある。

 

タイプ9:平和をもたらす人。気楽で受容的で、安定している。ゆったりと構え、支えとなる。

 

エニアグラムのねらい

 

ここで紹介したタイプの傾向は、それぞれのタイプの特徴の一部にすぎない。

 

実際の書籍ではリソ=ハドソン式QUEST(エニアグラム簡易分類テスト)が掲載されており、5分もかからずに約70パーセントの正確さで自分のタイプの可能性を絞り込むことができる。

 

その後、本書の後半で言及される2番目の診断、リソ=ハドソン式TAS(タイプ別態度分類)を利用することができる。

 

このテストのスコアも高ければ、おそらくそのタイプであろうと判断することができる。

 

ただ、自分のタイプを知ることは最終目的ではない。エニアグラムは、性格の自動反応を止め、私たちの世界における役割についてより深い真実に至るために活かすものである。

 

エニアグラムの発展の歴史

 

エニアグラムのルーツは複雑だ。古くからの知恵の伝統、そして現代の心理学が合わさって、現在広く親しまれているエニアグラムとなったと考えられている。

 

その発展は、「図形」と「9つのタイプ」の2つに分けて考えられている。

 

円、三角形、変六角形の組み合わせから成るエニアグラムの特徴的な「図形」は、約2500年以上前にさかのぼる古代から来ているようだが、正確なルーツは不明である。

 

一方、9つの性格タイプの考え方のルーツは4世紀ごろにさかのぼる。

 

本書の著者らは、現代のエニアグラムにつながる流れを作ったオスカー・イチャーソとクラウディオ・ナランホの基礎研究にもとづき、エニアグラムとほかの心理学などとの関連を示すことで、エニアグラムの心理学的な基盤を発展させてきた。

 

エニアグラムの基本構造

エニアグラムの三要素

エニアグラムの理論によると、「こころ(psyche)」の3つの要素として、「本能(instinct)」「フィーリング(feeling)」「思考(thinking)」がある。9つのタイプはこの3つの「センター」に分けられるという。

 

タイプ8・9・1が「本能センター」、タイプ2・3・4が「フィーリング・センター」、タイプ5・6・7が「思考センター」に属する。

 

それぞれのセンターの機能の周りに、自我がもっとも強く形成されているため、属するセンターは「もっとも自由に機能できない、こころの要素」を表す。

 

本の要約サイトフライヤーから引用
https://www.flierinc.com/