著者

 

高松康平 (たかまつ こうへい)

株式会社ビジネス・ブレークスルー執行役員。問題解決力トレーニングプログラム講座責任者。

 

ビジネス・ブレークスルー大学専任講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。

 

その後、リクルート等を経て現職。現在は「考える力」を中心に様々な教育プログラムを提供するビジネス・ブレークスルーにて、教育コンテンツ開発室長を務め、年間5000名以上が受講する「BBT問題解決力トレーニング」の講座責任者でもある。

 

自らも法人研修講師として年間約100日登壇している。2019年7月からは毎日1題10分考えるオンラインサービス「BBTルーティン」を提供中。

 

本書の要点

 

  • 要点1:ビジネスリーダーが注力すべきは、仮説検証型の問題解決である。その要となるのが「筋の良い仮説力」だ。
  • 要点2:問題解決をするうえでは、現状理解(WHERE)、本質的課題発見(WHY)、解決策立案(HOW)という順に取り組んでいくことが求められる。
  • 要点3:重要なのは「事業部長の視点」を持つことだ。事業全体を俯瞰して知り得た情報から、原因としてもっともありえそうな仮の答えを設定していくこと、それが筋の良い仮説力となる。

 

本書の要約

 

問題解決に必要なのは仮説力:「地図」と「武器」を手に入れよ

 

本書は若手向けでも経営者向けでもない。

 

ビジネスリーダー(課長・係長)向けの問題解決力を説いたものである。

 

ビジネスリーダーは、部分ではなく事業全体を見渡したうえで、取り組むべき課題を自ら探り当てていかなければならない。

 

そこで求められるのは事業全体を俯瞰して推論する力、つまり「筋の良い仮説力」であり、仮説検証型の問題解決力である。

 

問題解決にあたって重要なのは情報だ。しかし多くの人は、明確な目的もなく情報収集に走ってしまい、解決への道筋を見つけられず迷子になってしまう。

 

それでは非常に効率が悪い。まず筋の良い仮説を立ててから、その仮説検証に必要な情報を集めたほうが、問題解決ははるかに容易になる。

 

本書では、問題解決で迷子にならずに進むべき道を確認するための「地図」(問題解決マップ)と、筋の良い仮説を立てるための「武器」を紹介していく。

 

まずは「地図」を手に入れよ:問題解決マップ

 

問題解決で大切になるのが、自分の立ち位置を把握することだ。

 

進むべき方向のあたりをつけ、軌道修正が必要かそうでないか、進んできた道を評価しなければならない。

 

そのために有用なフレームワークが問題解決マップだ。これは問題解決の筋道を、「現状理解(WHERE)」、「本質的課題発見(WHY)」、「解決策立案(HOW)」の3つに分類するものである。各ステップの取り組み内容は次のとおりだ。

 

まず現状理解(WHERE)においては、現状を分析して問題が起きている場所を特定し、何を問題として定めるかを考える。

 

多くの人は、ここを飛ばしてWHYの部分から考えてしまうが、現状理解なくして筋の良い仮説は生まれない。

 

次に本質的課題発見(WHY)では、仮説に沿った情報を収集し、それらの情報を要約する。そして本質的課題が何かを考える。

 

解決策立案(HOW)では、問題解決の大きな方向性を決めたうえで、具体的なアイデアを考える。

 

方向性を決めないままアイデアを出すと、単なる思い付きに終わってしまうからだ。そして最後にアイデアを評価し、実行策を決定する。

 

現状理解(WHERE)現状分析:こだわりを持って分ける

 

ここからは架空のケースを設定し、問題解決マップにおける3つのプロセスを、さらに7つのステップに分けて解説するとともに、それぞれのステップにおける「武器」を紹介していく。

 

舞台は東京都心で10店舗を展開するオーダースーツの店、株式会社スーツスペシャルの有楽町店だ。これまで順調に業績を伸ばしてきたが、最近は広告費率が上がり、売上が低迷している。

 

今回店長であるあなたは、売上回復のための特別プロジェクト責任者に任命された。本質的課題を発見し、その解決策を社長に提案しなければならない。

 

問題解決は、起きている現象の細分化から始まる。

 

とにかく丁寧に分けることが肝心だ。会社や組織は複数の要素で成り立っている。

 

問題とはそうした複合体の中で均等に発生するのではなく、どこか特定のポイントで生じることが多い。問題の発生場所を突き止めるためには、分ける作業が何より大事になる。それが問題解決の成否を左右するほどに。

 

ここでの武器は、「こだわりを持って分ける」ことだ。

 

 

本の要約サイトフライヤーから引用