著者
酒井 威津善(さかい いつよし)
フィナンシャル・ノート代表。
ビジネスモデルアナリスト。
東洋情報システム(現TIS株式会社)にて10年間に渡り、法人向けシステム提案、企画・設計に従事したのち、不動産証券化業、住宅建設業、人材紹介業、システム開発業、遊技機製造業などで計12年間CFOを歴任。2013年より独立。
様々な業界の財務モデルに基づく実践型ビジネスモデル構築ツール「BM Schema(ビジネスモデルスキーマ)」を用いて、所員3名の税理士法人、年商1億2千万円の小売業、年商42億円の住宅メーカー向けに事業基盤再構築、新ビジネスモデル構築を実施し、キャッシュ・フローを前年比110%以上に改善するなどに成功。現在、年商50億円規模の中小企業を中心に、財務コンサルティングから新規事業の企画、設計及びサポートなどを行っている。
本書の要点
- 要点1:本書はビジネスモデルを発想するための本である。対象は中小企業や個人事業主向けだ。1日15分程度、スキマ時間を有効活用して少しずつ読むだけで、新しいビジネスモデルを思いけるようになる。
- 要点2: 新しいビジネスモデルのほとんどは、既存のものと既存のものを掛け合わせることで生まれる。
- 要点3:ビジネスモデルにはある種の公式がある。発想の軸となる考え方を理解したうえで、50個の公式をひとつずつ読んでいくと、ゲームのように次から次へと新しいビジネスモデルが降ってくる。
本書の要約
ビジネスモデルは簡単に生み出せる
既存の事例を少しだけ応用する
新しいビジネスモデルを生み出すことは簡単だ。
なぜなら世にある新しいビジネスモデルのほとんどは、既存の事例を少し応用しただけのものだからである。
新しいものは、既存のものと既存のものを掛け合わせることで生まれる。
たとえばディスカウントストアの「カクヤス」は、個人宅から個人宅へスピーディに配達するため、エリア毎に配送基地をつくり、その範囲内であればすぐに届けられるようにした。
酒屋の仕組みと宅配サービスの仕組みを掛け合わせたというわけだ。
今ではお酒の配達で「カクヤス」に勝つことは難しいほどに、大きな成長を遂げている。
このように新しいビジネスモデルを生み出すうえでは、ある程度の公式が存在する。
その50個の公式についてわかりやすく解説していくのが本書だ。
ビジネスモデルを生み出す発想法
4つの軸を学べ
新しいビジネスモデルを発想するうえでは4つの軸がある。
これらの軸にテコ入れすることで、新しいビジネスモデルを創出することができる。
第1の軸は対立概念である。
たとえば外食に対しては、自炊という概念が対立している。
この2つを合わせてみると、「あのイタリアンレストランのパスタを自宅で簡単に」という発想が生まれる。
第2の軸はシーケンシャルだ。
シーケンシャルとは、順番に並んでいることをいう。
その並びを変えてみるとどうなるだろうか。
たとえば高価格のものを低価格に、低価格のものを高価格にしてみる。
あるいは長時間かかるものを短時間で提供するといったことが考えられる。
第3の軸はビジネスプロセスである。
ビジネスプロセスは、企業側のプロセスと顧客側のプロセスに分かれている。
企業プロセスとして有名なものはバリュー・チェーンだろう。
バリュー・チェーンとは原材料の調達から製品・サービスが顧客に届くまでの企業活動を、一連の価値の連鎖として捉えることだ。
顧客プロセスではAIDMAが有名である。
AIDMAとは、顧客が商品やサービスの購入までに至るプロセス(Attention、Interest、Desire、Motive、Action)を指す。
こうした流れのどこかを変えることが、新しいビジネスモデルの創出につながる。
第4の軸はカテゴリーだ。
地域や産業、種類といったカテゴリーを、今属しているものとは別のものに置き換えられないか考えてみよう。
ビジネスモデルは垂直思考で
ビジネスモデルを考える際に有効なのが垂直思考だ。
つまり抽象化と具体化を行き来するのである。
たとえば「カフェ」と「航空会社」という、まったく異なるものを抽象化するとどうなるか。
カフェはコーヒーなどを提供する。
航空会社は飛行機を飛ばすが、食事も出す。
つまりどちらも「食事を出す」という点では共通している。
このように抽象化することで、異なるものの中にある共通点が見えてくる。
共通点が見えたら、次にやるのは具体化だ。
カフェと航空会社の例でいえば、「カフェでやっていることを飛行機の中でもできないだろうか」と考え、実際の商品やサービスに落とし込めないか検討する。
このように抽象化からの具体化という2つのステップを踏んでいけば、新たなビジネスモデルを生みだすことも容易になるだろう。
ビジネスモデルの6つの切り口
顧客、商品・サービスを変える
ビジネスモデルは、以下の6つの切り口から考えることで、より簡単に生み出せるようになる
なぜならほとんどのビジネスモデルは、これらの要素にテコ入れしただけのものだからだ。
本の要約サイトフライヤーから引用
https://www.flierinc.com/