国会議員を辞めさせる最終手段「除名」 過去2例…丸山氏への適用可能性は?


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国会議員を辞めさせる最終手段「除名」 過去2例…丸山氏への適用可能性は?

6/7(金) 18:16配信

J-CASTニュース

 北方領土をめぐる「戦争発言」で日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員(35)に対して、衆院は2019年6月6日の本会議で初の「糾弾決議」を全会一致で可決した。事実上辞職を求める内容だが、法的拘束力はない。

 丸山氏は辞職を否定しており、丸山氏を辞職させるために残された数少ない方法が衆院からの「除名」だ。議員への懲罰のひとつとして憲法で定められており、現行憲法下では、実際に除名された議員が2人いる。ただ、今回の事案では、各党とも適用には慎重だ。この2人は、果たしてどんなことをしたのか。

■下品発言連発で与党も「糾弾」に転じる

 可決された糾弾決議案は、丸山氏の「戦争」発言や、泥酔して外出を試みたことを「院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」などと非難。「ただちに、自ら進退について判断するよう促す」として事実上辞職を求めている。

 当初、維新を含む野党6党派は「議員辞職勧告決議案」を提出したのに対し、与党は「猛省を促す」とした「けん責決議案」を提出していた。その後、北方領土に同行した政府職員に対するヒヤリングで、丸山氏が現地で禁止されている外出を強く求め、ほかにも卑猥な発言などをしていたことが判明。これを受け、与党が文言を厳しくした「糾弾決議」を出す方針に転じ、野党も歩み寄った。

 本会議を欠席した丸山氏はツイッターで「その任期を全うし前に進んでまいります」と主張。辞職を拒否した。

 禁固以上の有罪判決が確定すれば国会議員はその身分を失うが、丸山氏の今回のケースはこれに該当しない。

 議員に対する懲罰は大きく4つあり、「戒告」「陳謝」「30日未満の登院停止」「除名」の順に重くなる。動議を受けて懲罰委員会で審査され、本会議で議決される。議決には戒告~登院停止は出席議員の過半数、議員としての職を失う除名には、出席議員の3分の2以上の賛成が必要だ。

反対討論したのに賛成票を…

 現行憲法下での除名の事例は2つ。1950年の小川友三参院議員(無所属)と51年の川上貫一衆院議員(共産)だ。

 小川氏は、予算委員会、本会議では反対討論をしたが、本会議では賛成票を投じたことが問題視された。委員会での表決と本会議での表決との間に「極めてまじめさを欠く発言」もあったとされた。当時の議事録によると、小川氏が本会議で弁明する際、社会党の議員から「エレベーター前で以て背負い投げを食いました」と発言。議場からは失笑の声があがった。

 川上氏の場合は、連合国軍総司令部(GHQ)による占領政策を批判する代表質問の内容が「虚構と捏造(ねつぞう)」だとして懲罰動議が出された。一度は陳謝処分が決まったが、川上氏は従わなかったため、除名になった。除名の原因になった代表質問について、吉田茂首相(当時)は

 「ただいまの議論は、要するに共産主義の宣伝演説であると考えますから、一々答弁しない」と答弁を拒否している。

「院内の秩序をみだした」に該当するか

 ただ、2人が除名される根拠になった憲法第58条は、懲罰の対象を「院内の秩序をみだした議員」としている。議員の身分を奪うことには慎重論が強い上、北方領土での丸山氏の行動が「院内の秩序をみだした」と言えるかについても解釈は分かれそうだ。

 衆院解散がなければ、丸山氏の任期は21年10月まで。仮に19年夏にダブル選に突入した場合も含め、丸山氏が改めて有権者の審判を仰ぐ可能性もある。とはいえ、日本維新の会を除名されたため、比例復活の道は閉ざされる。さらに厳しい選挙戦を余儀なくされることになりそうだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

引用:国会議員を辞めさせる最終手段「除名」 過去2例…丸山氏への適用可能性は?

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